ニュージーランドの自然
自然が造り出した「地球の箱庭」
雪・氷河・山々・森・苔・湖・川のコントラスト
およそ、8万年前、ゴンドワナ大陸から分裂した、古代ニュージーランドの陸地はコウモリ以外の陸生の哺乳類が存在しなかったといわれています。そのためか、この地の生物は特異な生態系を形成してきました。
陸鳥の数種は、長い流れの間に飛ぶことを忘れて(?)しまい、「飛ばない鳥」として歩いていました。その他の生物では、美しい模様のジュエルドゲッコー(ヤモリ)、「生きた化石」トゥアタラ(ムカシトカゲ)などの爬虫類が生息していました。いずれにしてもニュージーランドの生き物はユニークで、興味が尽きません。
その後、陸地は火山爆発、海底沈下、地殻変動による隆起などで、ドラマチックに変化しました。そして、200万年の氷河時代を経て、最後の氷河期が終わった時(1万5千年前)、地球が作った最高傑作である、「地球の箱庭」が出来上がったのです。
*輝く氷河が連なる山なみ *垂直に切り立つフィヨルド *苔むす幻想的な森、
*神秘的な色を放つ山上湖*清らかに流れる澄み切った川、ニュージーランドには、これら全てがあります。
Rain Forest
降雨森
一万五千年前に終わった「氷河期」の後に
氷河期が終わると、偏西風と暖流の影響で、ニュージーランドの西海岸側は世界でも有数の多雨地帯となりました。年間降水量7000mm以上の雨は、氷河が削ったあとの岩肌に、アレジー(藻類)やライクン(地衣類)をもたらします。
次に蘚苔類が地表を覆い、しだいに厚い苔の層ができ、その中にシダやナンキョクブナなどの植物が育ちます。それらは苔を土台に、そして腐った植物を栄養にして、すくすくと成長していきます。
ナンキョクブナは岩肌の上についた柔らかな苔の中に生えており、隣同士、お互いの根を絡ませあいながら、苔の中に立っています。そこに大量の雨が降りますと、苔はスポンジのように水を含み、柔らかくなって、斜面では大きくなった木を支えきれなくなってきます。そして、苔は木と共に岩の上を滑り落ち、木の根は絡まっているため、木が将棋倒しのように次々と滑り落ちます。
この現象を、「木のなだれ」(ツリーアバランチ)と呼びます。
一度、木が滑り落ちてしまうと、そこは岩肌がむき出しになり、その後また、そこに雨が降って、地衣類がついて苔が生えて、倒れた木に新しい芽が育つ(倒木更新)という「サイクル」を繰り返します。そして、同じような森になるまでには、100〜200年位かかると言われています。
このように、雨によってもたらされた森を「レインフォレスト」と呼びます。日本では「熱帯雨林」と訳されることが多い言葉ですが、ニュージーランドは「亜寒帯」ですので、これを「降る雨の林」と書いて、「降雨林」と呼んでいます。
さらにここに生えているナンキョクブナは基本になる木で、極相林です。それがこのようにして保たれている、と言うことは太古の昔からある原生林、と言うことになります。まるでそこから恐竜が出てきそうな森です。